レン・ケラー。
きっとご存知ですよね?
何も見えず、何も聞こえず、何も話せない。
完全な(やみ)三重苦(さんじゅうく)というとびきりの障害(しょうがい)をもちながら、アニー・サリバンという最高の教師の力をえて成長し、世界中の福祉(ふくし)貢献(こうけん)した、だれもが知っている、「とびきりの偉人(いじん)です。
彼女は、世界中の多くの人々を勇気(ゆうき)づけました。
『 …なぁに? よくある偉人のおはなし? 』
いえいえ、じつはちがうのです。
これからごらんいただくともしびは、アメリカのニューイングランドにある精神病院(せいしんびょういん)ではたらく、名も知れぬ「掃除婦のおばさん」のお話です。
『 ………。』
まあまあ。
お気持ちはわかりますが…
3分後には、“おどろきの事実” があなたをおそう !!
…かも。
女のはたらく病院の地下室には、
「緊張型分裂症」(きんちょうがたぶんれつしょう)
という難病(なんびょう)にかかった10歳の少女がいました。
何にも反応(はんのう)をしめさず、ただ暗い地下室のベットにうずくまっているだけ…。
少女は、回復(かいふく)の見こみなしとされていました。
世界から見放され、一言も話さず、胎児(たいじ)のように丸まったまま動こうとはしなかったのです。
とてもかわいらしい少女だったのですが、いまや日々やせおとろえていくばかり…。
女は毎日、少女の個室のまわりを掃除にやってきました。
そして、食事をドアの下のわずかなすきまから、ホウキの()で押して、中に入れる役目もありました。
※当時は南北戦争後の劣悪な環境で、
  病院とは名ばかりの「収容所」でした。

彼女にも(とし)の近い娘がいたせいか、少女を不憫(ふびん)に思いますが…
そこはただの掃除婦、もちろん何もしてあげることはできません。
…こういうときって、どうしようもなく切ないですね。
そこで彼女は、せめてそこを去る前に、ホウキの先でその少女をやさしく、そっとつついてあげました。
『 ねえ、あなたはひとりじゃないんだよ?
  少なくとも、ここに気にかけている人間がいるんだよ 』
――という気持ちをつたえるためです。
掃除婦のおばさんには、この程度(ていど)のことしかできませんでした。
そう、あたりまえのことですが、ふつうの人には、この程度のことしかできませんよね。
ほんのちいさな愛です。
ホウキの先ほどの、ほんのちいさな…。
そのちいさな愛を、そそぐしかなかった…。
その程度のことしかできなくても、ただつたえたかった…。
そのかわり、くる日もくる日もホウキの先で、その少女をやさしくつつきつづけました……。
して、何週間かたったある日のこと。
ちいさな変化が起こりました。
ただ死をまつばかりだった少女が、なんと自分の手で食事を受け取るようになったのです。
さらに時がたつにつれ、少女はすわることもできるようになり、掃除婦のおばさんとお話をするまでになったのです…!
こんなことって、ありえるのでしょうか…?
えらいお医者さまの手では、完全にお手上げだったのに…??
こうして少女は、奇蹟(きせき)ともいえる回復をとげたのでした…☆
――と、ここまでだけでも「よいお話」なのですが…
本当の奇蹟は、ここからはじまります。
れから何年かたった、あるうららかな春の日。
その精神病院の院長は、アラバマ州のひとりの紳士から、ひとつのおねがいを受けます。
その紳士の子どもも極度(きょくど)障害児(しょうがいじ)で、世話をしてくれる人をさがしているというのです。
そのとき、その奇蹟的な回復をとげた少女は、20歳になっていました。
院長は、その彼女を紳士に紹介しました。
彼女の名は――
『 アニー・
  サリバン 』
そう、ヘレン・ケラーの偉業(いぎょう)を生みだした教師です!
地下室でただ死をまつしかなかった、あの少女が、です。
レン・ケラーの世界的偉業。
それは、アニー・サリバンがつくりだしたということは、いまや万人がみとめるところです。
でも、ちょっとだけ思い出してみませんか?
そのアニー・サリバンを
つくりだしたのは、何なの
でしょうか…?
ケラーとサリバンの業績(ぎょうせき)だけを見ていると、なかなか気づきにくいのですが…
しかし、その成功の「真の生みの親」は、何なのでしょうか…?
どんな大木も、どんな大成功も、どんな大偉業も、もとをたどればすべて…
『 ちいさなちいさな(たね)
からはじまったこと…
忘れないでください。
人の成功ばかりが目について、自分がちいさく思えてしまうときも、このともしびを思い出してください。
あなたには、あなただけの「種」が与えられているのですよ。
「種」は、最初はとてもちいさいので、遠くばかり見ていると、見失ってしまうのです…。
婦だろうと、子どもだろうと、老人だろうと、地位も職業(しょくぎょう)もかかわりなく、だれもができて、そして成功につながっていることとは…。
それはもう、他人が語るようなことではありません。
…語ってもいけないのです。
そのちいさな種とは、今たしかに、あなたの…
・∴・∵・ こころのなかにあるのですから ・∴・∵・
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